Q&A 培養土の自作と再利用について
お客様からよくお問い合わせいただく内容について、この場をお借りして少しずつお答えしていきたいと考えております。土づくりに関する技術的なご相談は「土の無料相談」からもお問い合わせいただけます。
自分で培養土を作ってみたいのですが…
培養土を自分で配合する一番の理由は、コストの節約ではないでしょうか。ですが、培養土の素材を一種類ずつ用意していくと、結局のところ高くつくことが多いです。また、配合や化学性の調整(特にpH調整は高いハードルです)などにかかる労力も考えると、正直なところ、メーカー製の既製品をご購入いただいたほうが安心で確実です。
とはいえ、それでも培土を自分で配合したい!という方もいらっしゃいます。その場合も、一から十まで全てやるのは大変ですので、市販の培養土に培養土原料を加えてアレンジする方法はいかがでしょうか。(ただし、多くの場合はメーカーのサポートは受けられなくなりますので、自己責任で栽培してください。)
アレンジの例としては以下のような感じです。
●根腐れが心配な方
→通気性・透水性を上げてください。パーライト、モミガラ堆肥や発酵モミガラ(当社の有機王®がお勧めです。)などを加えます。水のやりすぎを控えるのが大切ですが、土に鹿沼土を混合しておくと鹿沼土が乾燥して白っぽくなるので水やりのタイミングを知ることができます。
●とにかく軽くしたい場合
→バーミキュライト、調整ピートモス、それにパーライトを少し加えます。かなり軽量な培養土になります。赤玉土や軽石(ケイセキ)、腐葉土などは土を重くしがちなので、やや控えめにします。
●忙しくて水やりを忘れがちな方
保水性を強化するために、バーミキュライトや鹿沼土を10~15%くらい配合します。
使用済みの土や古い土を使うときの注意点は何ですか?
同じ土を何度も使い続けるのは、農業の世界でも良くないと言われています。いわゆる連作障害という現象がそうで、植物の生育がだんだん悪くなったり、病気が蔓延するリスクが高まったりします。(プロの生産者様の場合、同じ土を使いまわすことはほとんどありません。)
それでもなお、古い土を再利用しなくてはいけない場合は、害虫や有害な微生物について対策をする必要があります。真夏の太陽熱で殺菌消毒を行う方法が比較的簡単で、フルイにかけて不純物を取り除いた土を黒いビニール袋に入れて密封し、1週間~1ヶ月程度、日当たりの良い場所に置きます。(お日様まかせなので、日照条件の悪い土地や季節では十分に効果が得られない場合があります。)
また、使用済みの培養土はpHが変化している場合が多いですので、場合によっては石灰資材などで適切に調整する必要があります。pHメーターはホームセンターなどで安価に入手できますので、一般的な作物ではpH6.0~6.5程度を目安に再調整してください。また、肥料成分がどの程度残っているかわかりませんので、元肥は控えめに配合して、植物の生育を見ながら追肥するほうが無難だと思います。
最後に、培土は長期間使用していれば徐々に変化していくものです。特に、有機物の量、微生物の数や活動の活発さは徐々に低下していきます。これを補うために有機物を加えたほうが良いです。具体的には腐葉土や堆肥を土の総量の10~30%くらい添加して混ぜ込みます。有用な微生物が多い有機王®やスーパー越の有機-2号🄬のような培養土原料を添加する場合は、ベースとなる培養土の消毒が完了してから混ぜ合わせるのがおすすめです。(混ぜてから消毒するとせっかくの微生物が死んでしまい、もったいないです。)
以上のように、培養土の再利用にはとても手間がかかりますし、必ず栽培がうまくいく保証もありません。やはり、使用されるごとに土をご購入いただくのをおすすめいたします。