ケイ酸、驚異のメカニズム。コメの収量・品質アップに有用です!
稲作に対するケイ酸の効果
ケイ酸が効く作物と聞いて、真っ先に思い浮かべるのはイネだと思います。イネにケイ酸が多く含まれることで、植物体の表面が硬く強化されます。硬くなることで病気や害虫に対する耐性が強化され、特にいもち病などに対して強くなることがよく知られています。
また、硬くピンと立った植物は太陽光を受ける姿勢が改善され、その結果として下の葉っぱにも良く光があたり、全体として光合成効率が良くなります。そして、酸素が根にも豊富に流れていくことで根張りの向上と根傷みの緩和が期待できます。
ケイ酸吸収による光合成の促進で、光合成による炭水化物(糖)の生産量が高まり、退化穎花数の減少、登熟歩合や千粒重の向上、ひいては相対的にたんぱく質含量が低下することによる食味の向上が期待できます。まさに、至れり尽くせりですね。
ケイ酸はどこから入るのか
ところで、ケイ酸肥料を特に使用していなくても、イネにはしっかりケイ酸が含まれている場合もかなりあります。北海道立農業試験場の調査によると、イネのケイ酸吸収量は10aあたり110.5kgあり、そのうち約半分の56kgが稲わらすき込みを含む土壌からの吸収だったそうです。残りは、かん水から13kgが吸収され、差し引き不足分の41kgは肥料として補う必要があるということでした。
ここで覚えておいていただきたいのは、かん水によるケイ酸補給の能力は年々衰えているかもしれないということです。近年、ダムや人工河川の整備などもあって、河川からのケイ酸供給量が低下しているといい、実際に山形県で調査したところ、ここ40年で農業用水のケイ酸濃度は半分程度に低下しているそうです。
ケイ酸は意識して入れていく
ただでさえ、環境からのケイ酸供給量が低下している昨今ですが、肥料散布のコストや労力からケイ酸肥料を入れない方も増えていると聞きます。一方で、近年では夏の高温障害によるコメの品質低下も叫ばれており、相次ぐ猛暑に耐えうる植物を作るためにも、ケイ酸を意識して施用しつづけていく必要があると考えています。
イネがケイ酸を吸収しやすいタイミングは幼穂形成期以降で、全吸収量の60%以上が吸収されます。したがって、ケイ酸肥料を施用するなら、最高分げつ期から幼穂形成期までが効果的だと言えます。多くの試験例から土壌中ケイ酸含有量13mg/100g程度までは収量が増加するというデータがありますので、ぜひこの数値を目標に、ケイ酸肥料を入れていっていただきたいと思います。
ケイ酸含有量の高い苗を育てる培土
ちなみに、水溶性のケイ酸を多く含む特殊な砂を配合した水稲育苗用培土「ホーネンス培土1号Si」という製品もあり、これを使った育苗で植物体内のケイ酸含有量が向上したデータがあります。根張りが良くなり、活着初期成育が良い苗が育つと好評で、新潟県魚沼地区などのブランド米産地や、低温・低日照の環境下での育苗にご採用いただいている培土です。苗質の弱さにお悩みの方におすすめしたい一品です。
株式会社ホーネンアグリ営業部 坂野(土壌医)