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夏の暑さに負けない土づくり! 三相分布の改善

土壌の三相分布とは

今回は植物と酸素、そして土壌の関係についてお話ししたいと思います。その前に、まずは三相分布についておさらいしておきましょう。土壌の組成は、固体・液体・気体の3つに分けられます。これらの容積をそれぞれ固相・液相・気相といい、その理想的な比率は大まかに言って固相率40%以下、液相率30%、気相率30%程度です。この三つのうち液相率と気相率はかん水による水分の保持状態によって変動するため、実際には固相率をどの程度に保つかが重要になります。固相率が適正なら、適度な排水と保水が期待でき、植物の根にとって良好な環境となります。

植物の呼吸と酸素吸収経路

植物はその全身の細胞間隙から酸素を取り込むことができますが、根が呼吸するのに使う酸素は主に根から取り込むと言われています。根が酸素を吸収する経路としては、まず雨水やかん水が土の中を重力にしたがって下方へと移動していき、それにあわせて地上から土壌中へと新鮮な空気が誘引されていきます。この際に、気相から液相へ一部の酸素が移動します。
植物は、①根の表皮が接触している気体(気相)から直接酸素を取り込む②根が接触している液体(液相)の中に溶けている酸素(溶存酸素)を取り込む、の二つの経路から酸素を吸収します。(ちなみに、①のほうが圧倒的に効率的だそうです。)土の中にある程度の空気を抱えつつ、水はけが良い土壌のほうが根の呼吸に都合が良いということになります。

湿害発生のメカニズム

いよいよ本題に入ります。皆さんは昨年の夏のことを覚えていらっしゃるでしょうか。2020年の夏は連日の猛暑が続き、熱中症の予防対策について考える機会が多かったことと思います。こういうときは植物も元気がなくなるものですが、いわゆる高温障害や湿害が発生したという圃場はなかったでしょうか?

気温が上がると、植物の酸素要求量は増加します。我々人間や動物が暑いときにハァハァと呼吸を粗くするイメージと一致しますね。いっぽうで、液相中の溶存酸素の濃度は温度が上がれば上がるほど低下する性質がありますので、植物根はやや酸素を取り込みづらい環境になります。
ここに急激なかん水や降雨で過湿になったらどうでしょうか。土壌中の気相率が下がり、液相率が上がった結果、「植物は酸素が欲しいのに、液相からも気相からも酸素を吸収できない」状況が完成してしまいます。こうして夏の湿害が発生するというわけです。このような場合、光合成の効率や水の吸収量も大幅に低下し、植物の生育に大きな影響を及ぼします。

気相率改善のメリット

もし、排水がじゅうぶんに良くて、固相率が適度に低い土壌だったら、高温時の湿害発生を軽減できると考えられます。さらに、根に十分な酸素が供給されることで、植物の成長はかなり有利になり、生育や収穫の向上が期待できるでしょう。(酸素濃度が適度に高いほうが、植物の生体重が大きくなる傾向にあります。)そのためには、土壌の気相率を改善することが重要です。そのためには水はけを改善しつつ、土壌の固相率を下げていく必要があります。

弊社の製品ではスーパー越の有機-2号有機王モミライトといった土壌改良材(汚泥発酵肥料)が土壌気相率の向上に効果的です。特に有機王モミライトは土壌に空気を入れる能力が非常に高く、継続して施用することで長期的に土壌の団粒化促進が期待できます。「土が固くて困っている」「水はけが悪くて困っている」という方には是非ともお試しいただきたいです。

株式会社ホーネンアグリ 坂野(土壌医)

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